創作彼女の恋愛公式 感想
こんにちは、ひこと申します。
軽く自己紹介致しますと、ラブライブ!シリーズとニジガク声優を追っかけながらアニメを見たりエロゲをしたりして日々惰性で生きているしがないオタクです。
普段Twitterでダラダラと呟くことしかしてないのですが、最近プレーした「創作彼女の恋愛公式(Aino+Links)」の感想をどうしても言語化して自分の中の気持ちに折り合いをつけたかったため、普段書かないブログという媒体で文を書いています。
どうにもブログを書き慣れていないので少し読みにくいものになっているとは思いますが、その辺ご理解頂けると幸いです。
さて、本記事では軽くゲームの紹介をしてから、ネタバレ込みで自身のプレーした感想を述べていこうと思います。
このゲームをプレーし終わって人の感想が読みたいという方、自分はエロゲなんて未来永劫やらないという方(そんな奴がなんでこのブログを読んでるかはわかりませんが)以外の方は、感想のところは読まないでブラウザバックすることをオススメします。
以下、目次です。
それではどうぞ。
1.「創作彼女の恋愛公式」の紹介
紹介と言ってもまず公式サイトを見てもらうのが良いと思います。
絵がとても可愛いですね。原画はあの「車輪の国、向日葵の少女」や「G線上の魔王」の有葉さんです。有葉さん、あかべぇのゲーム以外で見たことないしなんならここしばらくエロゲ原画で見てなかった気がしますが、このゲームの絵では現代っぽい可愛さがありつつ昔の時からの個性も感じられるようなテイストになっておりすごく僕好みです。
なにより注目して欲しいのは凪間ゆめみというキャラです。金髪!童顔!妹キャラ!そしてcv:くすはらゆい!勝ちですね。みんな在原七海好きだろ?くすはらゆいの「お兄ちゃん」は積極的に回収して行った方が人生のためになると言われています。
あらすじや細かいキャラ設定に関しては公式サイト以上のことは書けないので割愛しますが、一言で言うとするならばこのゲームは「クリエイターが命を燃やして創作に向き合う青春群像劇」です。登場人物は全員物書きやイラストレーターといった創作をする人達で、キャラがそれぞれ創作に向き合うにあたって抱える苦悩をキャラ同士の関わりの中で解決したりそれによって関係が縮まったり…みたいな感じですね。創作の話とは言っても教養が求められるような堅苦しい文章ではなく、キャラの心理描写を丁寧に描いて魅力や可愛さを引き出しているキャラ主体の話なので、すごく読みやすいテキストとなっています。
体験版の動画が公開されているので、わざわざ体験版をインストールしてプレーするのがめんどくさいという方はそちらを見て雰囲気を掴んでみるのも良いと思います。
【公式】『創作彼女の恋愛公式』Episode1 体験版プレイムービー01 - YouTube
あと、opがすごく良いです。曲もムービーも非常に完成度が高い。これだけでも見て帰ってください。
【公式】『創作彼女の恋愛公式』オープニングムービー - YouTube
余談ですが、僕がこのゲームを買った理由は完全に直感です。ソフマップで何かエロゲ買おうと思って適当にふらついてたら、たまたまパッケージが目に入って絵良さげやしこれにするか〜くらいのノリで買いました。その時は何も知らずに買ったので、帰ってop見てからめちゃくちゃ好みすぎて自分の直感を褒めましたね。
何買うか悩んで買ったゲームは割と積んでしまいがちなので、評判とか前情報とか一切頭に入れずに直感で選んだものを買うのがゲームの買い方として個人的に好きです。皆さんも試してみてください。ゲームの紹介をしてるやつの言葉じゃないな?
さて、次の章からは僕がこのゲームをプレーした感想となります。前述の通りネタバレ込みで書かれているので、このゲームをやろうと思っている方は一旦閉じて、またプレーし終えてからもう一度読みに来て頂けたらと思います。
これはおそらくネタバレにならないだろうと判断して書くのですが、個人的な推奨攻略順は「ゆめみ→エレナ→桐葉→逢桜」です。とは言え攻略順は本当に内容に影響は無いので、好きなキャラから先にやるなり後に残すなり自由にやるのがいいと思います。
以下、次章よりネタバレ注意
2.ゲームの感想
2.1.共通ルート
全8話構成。全話かなり面白かったです。1話1話で区切りがしっかりついてて、全話人間ドラマとして表現したいことも表現出来てて本当に完成度が高いというかすごく僕好みでした。だんだんキャラと仲が良くなる過程とか主人公くんがヒロインから惚れられるような理由付けまでしっかり表現出来てて良かったと思います。8話、さすがに不穏が過ぎるし逢桜が海外留学行くって言った時は俺の読みが間違えたか?と不安になっていましたが、最後本当に大変なことが起こってどうでもよくなりました。選択肢出てきた瞬間感情ぐちゃぐちゃなって絶叫してしまった。
共通ルートは本当に面白かったですね、文句をつける隙がない。ここまで100点です。
2.2.桐葉ルート
どう考えても桐葉が一番可愛い。誰でもわかる。一番可愛いので一番最初にやりました。
主人公の桐葉への恋心の自覚と桐葉の主人公への恋心の自覚の話はかなりあっさり終わったように感じます。それまでにも描写は丁寧にあったこととか主人公は桐葉のことを元々好きであったことから、ここがあっさり終わったことに関してはすんなり受け入れられましたね。告白シーンも桐葉らしさが出ててとても素晴らしい。
付き合ってからデートを挟んだり間をおいてから初回エロシーンが入ったのは本当に良かったと思います。その時の桐葉のセリフも完璧で、初回エロシーンの導入として違和感が全く無かった。ゴムもしてたし。それまでプラトニックな恋愛の話をしてるのにいきなり生ハメセックス始まるのとかめちゃくちゃ苦手なんですよね、僕が童貞だからですかね?
そっからはノルマかのようにエロシーンの連続。最後のエロシーンま〜まれぇどみたいなエロシーンしててウケました、別にシコモクじゃないからそういうことしなくていいんで…。
エロシーンノルマが終わった直後から起承転結の転。伊達眼鏡が万能すぎるな〜とは共通の時から思ってたけどその万能さが無くなった時は間違いなく不穏だなって感じた瞬間、予想通りの展開。ここら辺の女性声優の彼氏バレの時のオタクの描写マジで面白いですね、TLでよく見ます。それに対して逃げるのではなく向かい合うことを選択したのは、桐葉が主人公のことを大事に思っている、今まで1人で生きようとしてきた桐葉の人間としての成長の描写としてすごく良かった。現実の女性声優さんはここまで考えて生きてません。
厄介オタクに主人公が刺されるとこまではゲラゲラ笑って読んでたけどそれをトリガーとして桐葉が心因性の失声症になった時は急展開すぎて笑えなかった。はっきり言ってこれはあまりにも雑な急展開だな、と思いました。別に失声症という飛び道具を使わなくても、「女性声優がスキャンダルによる人気低下から這い上がる」って話でも面白かったと思うし、絶対そう来るだろうなと予想してたので。何より病気、特にキャラの声が出なくなるって設定として萌えないし…。
物語的には意識の高い声優が声が出なくなったことによる当人の焦りとかに目が当てられていたと思う。ただ、そういうのを表現するならもっと大きな出来事をその中に持たせた方が良かったのではないか。桐葉の心が壊れるくらいまで行ってしまっても良かったと思います、話が重くなりすぎる気はしますが…。とにかくそれを表すには尺や表現が足りてないのではないかと感じました。
ここら辺の描写は良かったんですけどかなり薄味な気はしましたね。
失声症の解決方法自体はまあそうだろうなって感じなんですけど、そこで失声症治りましたで終わらせられるとかなり困る。主人公は桐葉のことを思って最高のシナリオを書き終えた、それを受けて桐葉の声が出るようになったってことしか与えられてないし、その主人公の桐葉への思いを明示すること、それを受けて桐葉がクリエイターとして自分を魅せるような行動をすることが桐葉のキャラを立てるために重要なんじゃないかと思います。何のために人気女性声優のスキャンダルって要素を捨ててまで失声症に焦点を当てたのかが全くわからないし、上手くそれを活かすことも出来ていないまま終わってしまったように見えました。
エピローグで桐葉が失声症のマイナスを乗り越え声優として大きく成長し、賞まで取るに上り詰めたって描写があったのは良かったと思います。ただ、やっぱり納得のいく終わり方ではなくて、どういう経緯で、例えばASが大成功したならそれの補足的な描写を入れた上で桐葉があそこから声優として再起し賞を取るまでに至ったみたいなのが最初にあった方がすんなり話が入ってきたんじゃないか。見たいのはその過程ですからね。このままだと桐葉のストイックなクリエイター精神って部分が第2章において描写されてなさすぎると感じました。あと逢桜についての言及があまりにも不穏すぎますね、さすがにこの時点で察しました。
総評です。まず点数を付けるとすると、途中まで100点やったものの2章があまりにも僕の中で納得出来なさすぎて80点くらい。共通と個別第1章までは完璧なキャラゲーで、キャラと主人公の心理描写と関係性に焦点当てていてめっちゃいい文章を書いていたのに、第2章だけ人間ドラマの観点と桐葉のキャラを立てられていたかという点から見るとそこがおざなりになっていたのが減点ポイントです。第2章の尺をもっと取って失声症中の桐葉と主人公の仲を深めるイベントとか治ってからのイベントとかをもっと盛り込めたら良かったんじゃないかな、なんならそこでエロシーンを入れても良かったと思います。なんか最後の方で失速したのは本当に残念でした。
先程も書きましたが、自分はこのルートでは「女性声優がスキャンダルによる人気低下から這い上がる」って話を予想していました。「人気が落ちる→仕事が少なくなる→桐葉が焦る→ヤケになったり心が壊れかけたりする→主人公に発破を入れられる→ASのシナリオを主人公がもっと桐葉に沿ったものに書き直してそれを受けた桐葉がクリエイターとしての矜持を見せる→ASで桐葉がまた人気を取り戻す」みたいな感じですね。こっちの方が話としてまとまってて桐葉のキャラを立てれる展開になったんじゃないかなぁと思います。失声症という要素が入るとそれを治すということだけに目が向けられてしまうので、"桐葉のクリエイターとしての在り方"みたいな話の筋からちょっとズレてしまうように感じました。
桐葉ルートの感想だけ妙にお気持ち表明みたいになってるのは、共通まで読んで俺がこのゲームに期待しすぎてたんやなと書いてて思いました。これ以降はこの作品は個別が短いんだな、共通の1,2章分くらいの書き方をしているんだなって認識でプレーしたら割と楽になれた。ゲームをやる時はなるべくハードルを高く持ちすぎないことが大事ですね。
2.3.ゆめみルート
金髪ロリ妹(cv:くすはらゆい)、いいですよね。多分これが正解だと思います。この世の真理。
共通の間は主人公とゆめみの関係は偽兄妹って感じが非常に強く、恋愛感情みたいなものは全然匂わされて居なかったように感じます。まあ主人公くんは良い奴で、悩む人に手を差し伸べて適切な助言を与えることができてなおかつ常からジゴロなのでモテモテだから、直接描写が無かったとしてもゆめみは主人公のこと異性として好きであったとしても不思議ではないでしょう。ただやっぱり主人公からゆめみに対する恋愛感情のトリガーって部分はどうするのだろうとはやる前から気になってました。抱きしめられて慰められたから惚れました、って……って思ってたら現実はそんなもんだよって言っててちょっと笑っちゃった。そう言えばいいってもんちゃうぞ、別にいいんですけど。
ゆめみが一貫して「現実逃避のために絵を描いている」って設定が守られてたのは面白かったと思います。絵を描く(現実逃避する)ことができなくなった状態やと精神不安定になるとまで描写されたらその設定があまりにも強いことが認識できるので、後半の話の妥当性も持たせることが出来てたように感じます。
にしても雨星がずっと可哀想ですよね〜このゲーム。報われて欲しいって思います。当然のように噛ませにされて終わりなのやるせなさ過ぎる。
雨星の犠牲を他所に主人公とゆめみはイチャイチャイチャイチャします。まあゆめみが可愛いからなんでもいいか!あとなんかエロシーンが結構エロくてびっくりしました。
そして起承転結の転。ゆめみは今まで現実逃避のために絵を描いていたから、逃避する必要が無いほど現実が充実したせいで全く絵が描けなくなってしまいます。そんなことある…?って感じですが、まあそこは天才タイプだから仕方ないねってことで一つ。
ゆめみは主人公や逢桜、桐葉と違って根っからのクリエイターじゃないから、共通でクリエイターバカとしてヒロインに発破をかけてきた主人公も最初は恋人に対して強く出れません。でもやっぱり主人公はゆめみにクリエイターとして生きて欲しい、恋人の在り方としては失格だけど、クリエイターであるゆめみの方が魅力的だと言い切る形でゆめみのクリエイター魂や主人公に嫌われたくないという現実逃避魂を刺激して問題解決。桐葉ルートでも思ったけど問題解決があっさりすぎるんだよな……。
無事ゆめみはまた絵を描けるようになってASも完成、そっから2人で商業でもやってってるみたいな描写があってハッピーエンド。エピローグで章タイトル回収してきたのは本当に良かったですね、ちょっと涙が出ました。主人公がゆめみにかけた言葉をゆめみが主人公に言うことで2人は対等なクリエイターという関係になったというすごく僕好みの終わり方で思わず拍手してしまった。
総評としては、話の筋、展開、終わり方まで非常に綺麗にまとまってたと思う。けどとにかく短い。もうちょっとダレない程度に長くしてくれても良かったんやけどなって感じ。問題が起こってからそれの解決までがあまりにもあっさりしすぎてますしね。点数をつけるなら84点くらい。桐葉ルートの後半に比べるとゆめみが苦難を抱えてからもキャラが立っていたんじゃないかなと言うところが高評価です。キャラゲーとしてゆめみがずっと可愛かったし、その魅力を余すことなく表現できていたことがとてもよかったと思います。
やってて思ったのが、これ桐葉ルートと話の筋が同じなんだよな。「互いを意識し始める→きっかけ→告白→イチャイチャ→ヒロインにクリエイターとしての苦難が起こる→解決→エピローグ」って全く同じ。どうせエレナルートも同じなんだろうなと書きながら思ってます。
2.4.エレナルート
乳がデカい。クーデレかと思ったらただのデレデレ。デレデレって何?
初めに断っておくと、このキャラあんま好きじゃないんですよね。好きじゃないと言っても嫌いとか苦手って意味の好きじゃないではなく、ただただ好きではないってだけで、どちらかと言うと無関心に近い。こればっかりは理由も何もなくただの好みでしかなくてどうしようもないんですが、キャラゲーってキャラへの愛着で評価ってめちゃくちゃ変わってしまうから、そこだけは悪しからず。
共通で主人公くんエレナのことカッコよく振ったのに籠絡されるまで早過ぎない……?やっぱり乳がデカいって正義なんですね。それはそれとして、まあ別に元々主人公くんもエレナのことに興味がなくて振ったわけじゃないから、何かきっかけさえあればやっぱり好きかもしれんとなってもおかしくないとは思いました。とは言え、そのきっかけがいまいちパンチとストーリー性に欠けるものだったのがうーんって感じ。共通でもずっと一緒に寝たりしてたくせにな。まあ、大切な幼馴染いなくなってナイーブになってるとこにあんなデカい乳あったらそら靡くか。当たり前。
エロシーンエッロ……。エロシーンエロすぎ。エロシーンあまりにもエロくて笑っちゃいました。別のゲームやりながら垂れ流してたしあんま見てないけど。1章はエロシーン以外なにかありましたっけ、覚えてません。
さて2章、起承転結の転。主人公がエレナとの才能の差に苦難する話。エレナのCOLORLESSとしてのシナリオを読んだ主人公が自分のシナリオとこのシナリオが同じゲームで並んで大丈夫なのか?と思ってしまったことから、何回もシナリオを書き直して思い悩んで、色んな人の助言や考えに触れながら自分のクリエイターとしてのあり方を見つめ直していくというのがこの物語のテーマです。
最終的に逢桜と約束した"ASを素晴らしい作品にする"という気持ちを思い出し、作品に寄り添うようなシナリオにする、つまりエレナの模倣になるのではなく自分の持つ長所を際立たせることで、なんとかエレナのシナリオに並ぶようなものを完成させることが出来たという話でした。
それに甘んじずに向上心を持つ主人公の姿勢は本当にかっこいいですね。
このルートではエレナの苦難じゃなく主人公の苦難にスポットライトが当てられていましたね、そこだけ他のルートと違うところでした。かと言ってエレナに全く寄り添っていない話だったかと言うとそうではない。エレナは天才として自分の才能を恨み、普通の女の子でありたかったと思っていて、素の自分を受け入れてくれる主人公に惚れていました。しかし主人公はエレナの素の部分を愛しつつも、クリエイターとして天才に追いつきたいと思っている。凡人と天才のカップルのジレンマですね。
エレナはそんな主人公の想いに対して、一度は自分が筆を折ることで諦めさせようとしますが、姉の説得から主人公が目指すべき背中であるように、主人公に好かれる自分であるためにクリエイターとして前に立ち続けると決意します。エレナは天才で自分からクリエイターになったわけではないので、クリエイター気質の主人公の悩みなんて理解できません。でもそんな主人公のためにエレナも歩み寄ったと言えるのは、主人公の話が多かったこのルートにおいて双方向性の心理描写としてすごく良かったと思います。
このルートでは主人公が思い悩むだけあって、ヒロイン以外の様々なキャラのクリエイターとしてのあり方なども語られます。特に姫ちゃんやエリカの大人組の話は胸を打たれるものがありました。他のルートでもヒロインと対応する大人組、桐葉なら芽衣、ゆめみならちなみと彼女達のかつての挫折と今のあり方について語られていましたね。彼女たちは桐葉やゆめみと違って自分の才能に挫折し夢を変えた立場のキャラでした。しかし姫ちゃんとエリカ、そしてすぐりの関係は主人公とエレナの関係と類似していて、主人公とエレナの話に膨らみを持たすことが出来ていたと思います。あと雨星、雨星ほんといいキャラですよね……。
総評です。桐葉ルートやゆめみルートで感じられた、苦難とその解決における尺の短さ、物足りなさという点がこのルートでは感じられなかったように思います。多分シナリオの長さはそんな変わらなかったはずですが、その中で語られるべきことや心理描写が必要十分に表されていたからでしょう。解決方法も納得のいくもので、解決してからの主人公とエレナの関係性の変化もしっかり書かれており、これ以上求めるものはないと思えました。点数をつけるなら86点。1章があんま面白くなかったことだけ。
多分これは僕がエレナそんな好きじゃないから、必要以上を求めなかったからこう感じるのでしょうか。エレナの可愛いところをもっと見たいと思うならもうちょい評価下がってたかもしれません。けどまあ、第2章における話の展開とかまとまり方は他のルートに比べて綺麗だったのではないかなと思います。
2.5.逢桜ルート
さて満を持してのメインヒロインです。一番顔が良い。共通の終わりでやばいこと起こってからここまで長かったのか短かったのか……。
さすがに、あそこまで不穏ばらまかれてたらもちろん予想外れることないですよね。知ってました。ゴールデンタイムです。ゴールデンタイムとはヒロインの余命による死が確定している物語のことです。ほんま?
偶然逢桜が入院してることが主人公にバレ、そっから他のヒロインたちにもどんどんバレていきます。ヒロイン3人にバレた時の桐葉のセリフは本当に良かったですね。病気を誤魔化そうとする逢桜に対し主人公が見抜いた時のセリフと同じセリフを桐葉が言うのは、付き合いが短くても桐葉が逢桜のことを理解している、本当に大事だと思っていることの表れです。思わず泣いちゃいました、本当に桐葉とかいうキャラが良すぎるだけに個別の展開がああなったのが残念で…。
そう思ってからの桐葉と逢桜の会話を盗み聞きした後の桐葉と主人公の会話、本当にふざけんなよと声が出ました。グランドエンドで個別のあの展開の"意味"を回収したのがずるくて、あのルートはこのための踏み台だったのかって、それならあの展開もっと膨らませられただろって。なあ。桐葉ルートの要約的なセリフが出てくるのは、グランドエンドにおいては良い表現だと思う反面、桐葉ルートがただの個別の1つであるということを感じさせられてすごく複雑な気分でした。
そして桐葉ルートと同じ解決手段、主人公が強いシナリオを書くという形で、やっぱり逢桜がクリエイターとして生を全うする覚悟を決める話。逢桜と主人公と、そして桐葉がどうしようも無いほどのクリエイターであることが表現されていましたね。実質桐葉ルートの続きとも言えるでしょう。こいつ桐葉のことしか考えてないな。とは言え、やっぱりこのルートでもその解決方法の描写は結構あっさりしてましたね。
ここから怒涛のヒロインの気持ちを回収していくフェーズ。エレナと桐葉とゆめみ、三者三様のあり方が表現されていて良かったですね。それぞれのキャラに合わせた気持ちの向き合い方だったと思います。やっぱりゆめみはまだ共通だけでは自分の気持ちと向き合えていなかったという描写がすごく好きでした。その中で雨星だけがゆめみルートにおいて明かされるゆめみの心理に気づき、自分だけは味方でいると言うシーン、ほんと雨星ってキャラ……。他のルートと違って全員の想いにけじめをつけているのがグランドエンドっぽいですね。
寿命が決まってるヒロインへの告白シーン、1回断られてもう1回押し切ったら折れる、ってまぁ絶対こうなるだろうなとわかってたんですけど、そこに逢桜が「ハッピーエンドが好きでバッドエンドを望まない」というクリエイターとしての矜恃を入れてきたのがこの作品らしいなぁと思います。こういうのは展開が分かっててもどういうセリフが紡がれるかが大事ですからね。
そして付き合ってからデートしたりシナリオを今まで書けなかったハッピーエンドで書き直すことを決意したり、エロシーンノルマが達成されたり。初回エロシーンの導入についてはもう言うことないです、このゲームは本当によく出来ていると思います。でも初回エロシーンの「わたし、もう(子供が)出来ないから」はマジで最悪すぎて笑っちゃいました、僕が言われたら絶対萎えちゃう。
第2章、「成功確率の低い手術をして病気を治す(失敗したら死ぬ)」か「手術をせずに死を待つ」かの択を迫られます。この物語においてこの選択は、「ASの執筆を辞め、奇跡を信じてこれからも生き永らえる」か「ASを完成させて死ぬ(AS完成後に手術を受けてもどんどん成功確率が下がっていくので期待は出来ない)」かの択とも言い換えられます。そしてやっぱり、主人公も逢桜もどうしようもなくクリエイターで創作に命を掛けているから、前者の選択をするべきだとする友人たちとの口論を経た上で後者の選択をします。このゲームにおけるクリエイターとしての生き様は十分理解出来てますが、やっぱりその選択は学生という身分に背負わせるものではないよなぁ…と思います。
逢桜の病状が悪化し、ついに執筆にドクターストップがかかってしまいます。それに対して病院から抜け出し桐葉の実家の旅館に泊まりこむことで反発する逢桜と主人公。病院からの逃避行は定番な展開ですが、こういう展開って死にに行くようなもんなんですよね、まさかここで書き終えて死ぬんか?と思ってしまいました。ていうか執筆のためにわざわざ逃げたんならセックスすんなや。もういいよ。しかも他のルートと同じ夜通しセックスて。ほんまに死ぬぞ。ここで死ななくてよかったね。
そしてクライマックス、逢桜は足から順に体が動かなくなって行き、最後にはシナリオを書くための手すら動かなくなってしまう。執筆も残すところはラストのみ、逢桜が書こうとしたシナリオを口で読み上げ主人公がそれを書いていきます。ここでASのシナリオ自体が逢桜のこの状況とリンクするような話であることがわかり、「この結末で幸せだったよ」と言うセリフで物語は幕を閉じます。opのピアノインストのBGMとCGが本当にずるいですね、泣かざるを得ないので。
最後に後日談的な形でAS発売後のASの評判、ヒロインや主要キャラが何をしているかなどが語られ、主人公はこれからも逢桜との想い出を胸に前を向いて歩き続けていくというモノローグで終わります。この物語をハッピーエンドと捉えるのかビターエンドと捉えるのか、読者に委ねる形ですね。まあ、本人たちがハッピーエンドだって言ってるんだからハッピーエンド以外無いでしょう。
総評です。なんとなく共通の段階でゴールデンタイムかまして来そうだなとは予想してましたが、その通りでしたね。ゴールデンタイムの中でクリエイターとしての生き様をこれでもかというくらい表現出来ていたと思います。ただ、グランドエンドに相当するルートの割にやっぱり尺は短かったですね、プロット通りに綺麗に進行していて無駄が無さすぎるとも言えますし、展開が早すぎるとも言えます。
あと個人的になんですけどこういう話、どうしても全体的な話の流ればっかり見てしまってキャラの気持ちに寄り添えないんですよね。というよりもこのゲーム、共通まではキャラ主体の話に終始していたのに、突然このルートでは展開重視になって、そこにキャラの心理描写が展開に沿うように埋め込まれているように感じました。なんというか、共通や他のルートではキャラの心理や苦悩が話の展開を作っていたのに対して、このルートは予め定まっている話の展開においてキャラの心理や選択がどうあるかという話であったような気がします。この話はこの話で面白いんですけど、どちらかと言うと逢桜の留学をテーマにしたキャラ主体の人間ドラマ的な話を読みたかったという欲はありますし、そっちの方がこの作品全体の方向性も揃ったのではないかなとも思いました。
このルートの点数を付けるなら88点と言ったところでしょうか。単純に話として面白かったのと、クリエイターの生き様というテーマの筋が一貫していたことがすごく良かったと思います。先程も述べましたが、このルートは展開重視のシナリオのためどうしてもシナリオに目を向けて評価せざるを得ないので、点数は付けやすい反面、他のルートとのバランスがちょっと取れていない気もしています。
3.ゲーム全体を通して
何より、個別の尺が短い。これに尽きます。共通の段階で、普通のエロゲなら個別でこの展開するのでは?みたいなものが多く、それゆえ個別が短いのではないかと不安に思っていましたが、実際その通りになりましたね。共通に時間を割いた分、キャラの関係における積み重ねが豊富なためヒロインと付き合うまでの導入がスムーズであることは良かったと言えますが、付き合ってからの展開があまりにもワンパターンで短すぎる、というのが残念なポイントでした。
特に桐葉ルートが本当に納得がいかなくて辛いですね。桐葉ルートのお気持ちを書くためにこのブログ全体を書いていると言っても過言ではありません。逆に言うと、ゆめみルートやエレナルートは短いという問題がありつつも話としては綺麗にまとまっているのではないかと思うので、特に感想として書くことが「良かった」くらいしかないんですよね。逢桜ルートは少し思うところがありましたが。よくここまで文量膨らませたな?
まあ個別の進行に思うところはあるにしろ、共通は非常に面白かったのではないかと思います。ゲーム内時間の進行が非常に早い(共通の時点で2年経過している)ため、学年が変わるということを利用した人間関係の進展が見られたのが中々他のエロゲでは見ない点であったと言えるでしょう。その分友人達との絡みが少なかったり、イベントが飛ばし飛ばしであったことは否めませんが。また、1話1話の中で起承転結がしっかりしつつも全体の話が進んでいる感じは、読んでいて非常に次へ次へと続きを読みたくなる構成だと思います。何より青春群像劇としてキャラの心理描写を丁寧に描いているところが大変僕好みの作品でした。
そういえば本タイトルの「恋愛公式」という部分、「公式」という単語は桐葉ルートのエピローグ及び逢桜ルートにおける桐葉の発言と主人公のモノローグにおいて使われていましたが、これだけ章題におけるセリフの伏線を大事にしてきたゲームなのに登場するのはそこだけなのか?とは思いましたね。そもそも公式って理系チックな言葉でどうしても創作という文系的なものと結び付きが弱いように思えるので、公式という単語が使われた時もそれはちょっと言葉のチョイスが微妙じゃないかなと感じてしまいました。「創作彼女の恋愛公式」というタイトルセンス自体は良いのですが、内容を鑑みると「恋愛公式」ではなく他の言葉の方がしっくり来そうだと思います。自分は語彙力も創造力もないので他の言葉が思いつきませんでしたが…。
さて、個別ではなんとなくで点を付けていましたが、ゲーム全体の点はある程度パラメーターから付けようと思います。シナリオ(30)/キャラ・絵・ボイス(25)/主題歌・演出(20)/設定・世界観(15)/システム周り(10)とかでどうでしょうか。この場合以下の点になります。
シナリオ:23/30
キャラ・絵・ボイス:24/25
主題歌・演出:18/20
設定・世界観:13/15
システム周り:7/10
総合点:85/100
シナリオについてはもう散々語ったのでいいでしょう。
キャラ・絵・ボイスに関してはほぼ満点ですね、大変素晴らしいと思います。エレナがあんま好きじゃなかったの以外、全キャラ好きでした。CGについては特にSD絵が好きですが、有葉さんの絵は非常に安定して可愛かったですね、R18絵もエロかった。ボイスについては、メインヒロインはくすはらゆい以外あまり他のエロゲで聞いたことない人が多かった気がしますが、全員非常に表現力のある声優さんだと思いました。エレナのボイスは若干夏和小に似ていましたね、ただやっぱり夏和小のあの甘いボイスにはどうしても劣ってしまうと感じたので、これからの成長に期待ということで。
主題歌・演出に関しては、「奇跡なんか、いらない。」と「Re:CREATE」がとても好きでどうしてもフル音源を回収したいがために特装版を買うか悩んだくらいでした。結局金欠で買わなかったんですが。ルートエンディングとグランドエンディングもすごく良い曲でしたね、ただ曲のED感が強すぎて個別の短さのせいか終わった時に流れるので聴いてもそのED感が若干浮いているように感じてしまいました。曲単体だとすごく良いんですけどね…。演出はまあ、詳しくないので分かりませんが、BGMの差し込み方とか結構良かったと思います。
設定・世界観ですが、全員がクリエイターでそれぞれの在り方を持っているというのが最初から最後まで貫かれていたのが非常に好印象でした。ただ、青春群像劇の学生モノというあり方と、逢桜ルートなどの重いクリエイターとしての矜恃というのは若干ミスマッチなのでは無いかな、とも思いました。世界観、鎌倉高校前に住んでて学校の最寄りが吉祥寺で学校が新宿ってめちゃくちゃ過ぎるだろと笑ってしまいましたが、まあそれは現実の地図では無いので全然いいです。
システム周りはショートカットキーを配列できるのはいいんですがバックログから戻るキーがないので毎回マウス触らなあかんのがだるかったなぁという印象です。それとバックログエラーが多かったですね、ログが表示できなかったりジャンプしたらエラーで固まったりするのは困りました。あとちょいちょい誤字脱字があったりしたのはご愛嬌ということで。
まとめに入ろうと思います。
前評判を見ずに直感で購入したゲームにしては非常に僕の好みに刺さっていて良かったゲームだったと思います。その分期待しすぎて個別で肩透かしを食らった感はありますが、全体的に見てよく出来た作品だったのではないかなと言ったところです。文が読みやすく、話も分かりやすく面白いのでエロゲ初心者にオススメしやすいゲームなのかなぁと感じましたね、その分エロゲをよくやる人にとっては若干粗が目立つ部分が多いような気がしてなかなか勧めにくい作品でもあります。個別さえもうちょい丁寧なら名作になり得た良作というのがプレーし終えた感想なので、Aino+Linksさんにはこれからもゲームを出していって欲しいですね。いつか自信を持ってこのゲームは神ゲーだと言えるゲームが出ることを期待していますし、それが出来るだけの可能性は十分あると思います。あとAino+Linksさん、頼むからサントラを別売りで発売してください…。
さて、非常に長くなってしまいましたがそろそろ筆を置かせて頂きます。ここまで読んでくださった方に感謝を、Aino+Linksさんのこれからの活躍に応援を、自分の拙い文章力に反省をしながら、また機会と気力があればゲームの感想などを書いていきたいなと思って。
それでは、さようなら。